第11回【事情別、お墓の建て方】

☆夫婦で宗教・宗派が異なる場合☆

宗教・宗派の異なる夫婦が、それぞれ自分の宗教や宗派にこだわる場合、同じお墓では具合の悪い場合があります。その場合のお墓の建て方には、以下のような2つの方法が考えられます。

①宗教・宗派を問わないお墓にする

宗教や宗派不問の公営または民営の公園墓地であれば問題ありません。供養する場合も、自分の宗教・宗派での供養を頼むことができます。

②別々のお墓を建てる

夫婦別々にお墓を建てるという選択肢もあります。ただし、子供がいて、お墓を承継する場合には複雑なことになります。

 

☆兄弟姉妹でお墓を共有する場合☆

法律的には、お墓の所有権者は1人には限られません。亡くなった両親のお墓を建てるために、兄弟姉妹が費用を出し合った場合、費用を出し合った全員で共有のお墓を持つことができます。

ただし、墓地の管理規則などでは、永代使用権者の名義は、ほとんどの場合が1人とされています。複数の人が永代使用権を持っていると、お墓の継承などでトラブルが発生する場合があり、そうした問題を未然に防ぐためです。

 

☆独身の兄弟姉妹も同じお墓に入りたい場合☆

未婚のままでいるつもりの兄弟姉妹であれば、1つのお墓を共有し、そこに入ることを希望しても問題はないでしょう。また、結婚しても子供を持たない主義や、子供のいない兄弟姉妹の場合も同様に考えてよいでしょう。

 

☆夫婦ともに親のお墓がほしい場合☆

1人っ子同士が結婚し、どちらにも継承すべきお墓がなく、両親のお墓を建てたいという場合、以下のような2つの方法が考えられます。

①2人で1つのお墓を建てる

墓石に家名は刻まずに、墓誌を建てて、そこに両方の両親の戒名や俗名などを刻む方法があります。墓石の刻字は、「南無阿弥陀仏」や「南無妙法蓮華経」などとしたり、「先祖代々」だけにしたりするなどの方法があります。

②両家のお墓を並べて建てる

墓地内の同じ区画に両家のお墓を並べて建てて、片方のお墓の承継者が、両方のお墓の維持や供養を行っていくことになります。ただし、墓地によってはできない場合があります。

 

☆実家の親のお墓がほしい場合☆

1人っ子同士の結婚で、配偶者にはお墓があり、自分の両親のお墓がまだないという場合、以下のような3つの方法が考えられます。

①個人墓を建てる

自分の両親のお墓を建てます。後々の管理は子供たちに頼むことになります。あるいは、永代供養の契約を結ぶという方法もあります。合祀墓ではなく、個人墓である点が、次の②とは異なります。

②永代供養墓に合祀する

永代供養墓に合祀し、永代供養料を前納して、永代的に供養してもらう方法です。後事をお墓の管理者に託す方法です。

③婚家のお墓に入れてもらう☆

両親2人だけのことなので、婚家のお墓に一緒に入れてもらうという方法があります。

 

☆独身者が自分のお墓を建てる場合☆

生涯を独身で通したいという人は、自分の後始末を自分でつけておく必要があります。

①合祀墓の永代供養墓に入る

永代供養が前提なので、後々の心配がありません。

②個人墓を建て、永代供養の契約を結ぶ

自分の個人墓を建てて、永代供養の契約を結びます。永代供養は生前に費用を納める必要があるので、ほかの親族に迷惑をかけずにすみます。